ビジネスシーンでは、敬語を正しく使うことが大切です。
敬語を正しく使うことは、すなわち相手を肯定し敬うこと。
誰でも、自分を敬ってもらえると心が和むものです。
正しい敬語・美しい言葉遣いを心がければ、誰とでも楽しく仕事を進めることができますよ。
目次
1.よく使われる敬語とは?
(1)一般的によく使われる敬語10選
まず、一般的によく使われる敬語は次の10個です。
「普通の言い方→尊敬語→謙譲語」の順でご紹介します。
- 会う→お会いになる→お目にかかる
- 言う→おっしゃる→申す
- 行く→いらっしゃる→伺う・参る
- 来る→いらっしゃる→おる
- 聞く→お聞きになる・お耳に入る→伺う・拝聴する
- 見る→ご覧になる→拝見する
- する→される・なさる→いたす
- 食べる→召し上がる→いただく
- 与える→くださる→差し上げる
- 知っている→ご存じである→存じている・存じ上げる
その他、名詞の尊敬語・謙譲語は次の3つを覚えておきましょう。
- 会社→御社・貴社→弊社・当社
- 担当者→ご担当者様・ご担当の方→担当の者
- 同行者→お連れ様→連れの者
(2)ビジネスシーンでは、ちょっとした言葉も丁寧に
ビジネスの場では、小さな言葉も疎かにせず、丁寧に話すよう心がけましょう。
- わかりました→かしこまりました
- いいですか→よろしいでしょうか
- どうですか→いかがでしょうか
- わかりません→わかりかねます
- できません→いたしかねます
- さっき→さきほど
- 後で→後ほど
- ちょっと→少々
- おととい→一昨日(いっさくじつ)
- きのう→昨日(さくじつ)
- 今日→本日
- あした→明日(みょうにち)
- あさって→明後日(みょうごにち)
- あっち、こっち→あちら、こちら
2.間違えやすい敬語。この5つをチェック!
敬語はなかなか難しく、言語学者やアナウンサーなど「言葉のプロ」でも時として戸惑うものです。
敬語を使う時は、最低限、この5つをチェックしておきましょう。
(1)尊敬語と謙譲語を間違えない
尊敬語と謙譲語を間違えるのは、このような例です。
・お客様に対して「スズキ様でございますね」「お飲み物はどういたしますか?」
この2つは両方とも×。
「ございます」も「いたします」も謙譲語なので、お客様に対して使うのは失礼です。
正しくは「スズキ様でいらっしゃいますね」「お飲み物はどうなさいますか?」です。
(2)身内に敬語を使わない
社外の人に対して話す時は、社内の人に尊敬語は使いません。
たとえば取引先の人に「ワタナベ部長は、ただいま席をはずしていらっしゃいます」「社長はあちらにおられます」などと言うのは間違い。
たとえ名指し人が上司であっても、社外の人に対して話す時は尊敬語はNGです。
正しくは「部長のワタナベは、ただいま席をはずしております」「社長はあちらにおります」です。
(3)「お世話様」「ご苦労様」はNG
敬語の間違いで多いのが、社外や目上の人に対して「お世話様です」「ご苦労様です」と言ってしまうこと。
「お世話様です」は、つい「お世話になっております」と言うのが面倒になり使ってしまいがち。
でも「お世話様です」は、目上の人が目下の人に対して使う言葉です。
めんどくさがらずに、きちんと「お世話になっております」と言うようにしましょう。
また、「ご苦労様」も危険な言葉。
目上の人が目下の人に使う言葉です。
ビジネスシーンでは、相手の年齢や役職、立場など関係なく「お疲れ様です」と言うのが無難です。
(4)バイト言葉にご用心!
近年、話題になっている「バイト言葉」。
コンビニやレストランで「以上でよろしかったでしょうか」と言われ、モヤモヤした気分になった人もいるのでは?(正しくは「以上でよろしいでしょうか」)
バイト言葉を使うと軽薄に見られ、信頼度・好感度が下がります。
たとえば、このような言葉に注意しましょう
- 「〜から」:×「5,000円からお預かりします」→〇「5,000円お預かりします」
- 「〜のほう」:×「皆様のほうに配布しました、パンフレットのほうをご覧ください」→〇「皆様に配布しました、パンフレットをご覧ください」
- 「なります」:×「こちらが新商品になります」→〇「こちらが新商品です」
- 名前を「ちょうだい」「いただく」:×「お名前を頂戴できますか」「お名前をいただけますか」→〇「お名前を教えていただけますか」
(5)二重敬語は却って失礼
「とにかく丁寧な言葉を使わなくては!」と緊張すると、敬語が過剰になりがち。
1つの言葉に2つ以上の敬語が重なると、ゴテゴテとした印象になり、却って不快感を与えます。
たとえば、こんな二重敬語に注意しましょう。
- ×「先生がお見えになられる」→〇「先生がお見えになる」「先生がいらっしゃる」
- ×「夕食をお召し上がりになった」→〇「夕食を召し上がった」
- ×「おっしゃられていました」→〇「おっしゃっていました」
- ×「こちらをお試しになられましたか?」→〇「こちらをお試しになりましたか?」
敬語はたくさん知っておけば便利です。
でも、使う時はシンプル・イズ・ベスト。
話す言葉すべてに敬語を使うのではなく、要所要所で敬語を使えば、丁寧かつスッキリとした言葉で話すことができます。
何よりも、相手を敬う心を忘れなければ、自ずと言葉に表れるものです。
気持ちを楽にして、スマートに敬語を使いこなしましょう。